研究会代表者 平岡 昌和
(東京医科歯科大学・名誉教授)
心電図・不整脈領域に関しての近年の科学及び臨床面での進歩発展は目覚しい。心筋細胞膜での単一チャネルの機能解析や分子生物学的研究から、従来においては特殊心筋・刺激伝導系細胞と固有心筋細胞の2種類に分類されていた心筋細胞が、心室内の固有心筋においても活動電位波形は一様でなく部位により多様であり、それには個々の細胞膜に発現するイオンチャネルの発現分布により決められること、また、このことが心電図波形の形成、不整脈の発生・制御にも関連することが明らかになってきている。分子遺伝学の発展は、致死性遺伝性不整脈の実態を明らかにし、その病態解明に大いに寄与している。臨床不整脈の領域ではカテーテルアブレーションの導入・発展は不整脈治療に革命的な変革をもたらし、一部の不整脈では根治治療が可能となり、加齢や基礎心疾患が原因となって薬物による対症療法でしか対応できなかった不整脈にも根治や寛解が得られるようになった。また、ペースメーカーやその関連機器の発展、心電図診断その他の診断機器の導入・発展も不整脈診療に格段の進歩をもたらしている。
このように目覚しく日々進歩発展する不整脈領域の基礎知識の吸収、臨床面での学習と修練、技術習得を目指して努力を続けることが,日常臨床の場でも不可欠となっている。本研究会では、これまでの不整脈の基礎知識や最近の進歩発展、臨床電気生理学的知識や新たなカテーテルアブレーションの技術・方法論に対する修練・研究をめざし、また新しい不整脈診断・治療機器の進歩に対応するためにたゆまぬ努力と情報交換を目的とした研究会である。さらに、重要な目的の一つは不整脈診療に興味を有する若手医師の教育と研鑽の場を提供し、そのモチベーションをさらに高揚することを目指すことである。本研究会の参加者は、このような目的に賛同する東京医科歯科大学及びその関連病院において、過去及び現在において不整脈関連の基礎研究・臨床診療に携わる医師・研究者、ないしはこの目的に賛同する同好の士が中心となるものであって、1年に1回集まって日ごろの成果を発表し議論を重ねて、より高度の知識の習得とより良い医療を提供するための研鑽、そして会員同士の友好を深めることを目的とするものである。
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